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中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

国内メーカーはEV時代の勝者になれるか?

企業・経営者 書籍・雑誌 経済・政治・国際

 のっけから恐縮だが、私は自動車にはほとんど興味はないものの、自動車業界を取り巻く時代のうねりに興味があるので、たびたびこのブログでもトヨタ自動車の話題を取り上げている。

 たまたま最近、EV車の普及を見込んだ事業展開を考えている事業者と関わることがあったので、業界の情報を知るためにも2冊の本を読んでみた。

 一つは『自動車新世紀 勝者の条件』、そしてもう一つは『「エンジンのないクルマ」が変える世界』というもの。

 前者が複数名の日経新聞記者によるオムニバス的な内容なのに対し、後者は力のある経営コンサルタントによる単独執筆のため、より深い未来まで洞察した充実した内容であると感じた。

 以下、同書を読んだ上での今後のEV車をとりまく未来像とは・・・。

・EV車以外のポスト・ガソリン車として、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、さらには水素などの燃料を用いたFCV(燃料電池車)、水素エンジン車、天然ガス車(NGV)、バイオマス由来燃料自動車などがある。

 いずれも、EV車と比較してそれぞれにメリット・デメリットがあるが、昨年に発表された三菱自動車の『i-MiEVアイ・ミーブ)』 、日産自動車の『リーフ』の登場によって、俄然EV車の存在感が高まっている。

・技術革新の激しいモノづくりの世界において、電池の進歩は遅々としたもの。そんな中、充放電が出来る二次電池としてニッケル水素電池リチウムイオン電池が約20年前に発売された。

 ニッケル水素電池は第一世代のプリウスに採用されるなど、自動車用大型電池として進歩を遂げ、リチウムイオン電池は主にノートパソコンや携帯電話用として普及した。本書によると、ジーエスユアサなる会社が研究を重ね、自動車向けのリチウムイオン電池を開発したとのこと。

 といったように、ここに来て環境に優しい次世代カーとして、俄然「EV車」への期待が高まってきている訳だが、筆者はEV車の普及に伴い、自動車やリチウムイオン電池製造に関わる日本メーカーが、グローバルな戦略的視点の欠落によって、DRAMや携帯電話同様に、ゆくゆくはアジアメーカーにそのシェアの大半を奪われてしまわないか、懸念をしている。

 たびたびこのブログでも指摘しているように、日本メーカーは製品そのものの品質やスペックにこだわる余り、グローバル市場を視野に入れたマーケティングの戦略的視点の欠落により、サムソンやLG電子などアジア勢に劣勢状態である。

参考ブログ)

『ものづくり敗戦』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-8ba4.html

『『技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか』-2』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-3593.html

サムスンに学ぶ』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-910f.html

『日本半導体敗戦』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-d436.html

 同書でも、「携帯電話のガラパゴス現象」という図において、日本メーカーの成長期における経営戦略とマネジメントの問題として、

・機能優先

・過当競争

・標準化の遅れ

・キャリア重視

資金力の不足

・マーケティング軽視

・グローバルビジネスモデルのなさ

を挙げている。

 最後の章に、日産自動車志賀俊之COOの発言が掲載されている。志賀COO曰く、

「車中にいる人を助けられる構造を持ったボディを作れるのは自動車メーカーだけ」、

「たとえぶつかってもバッテリーが損傷しないクルマは、自動車メーカーしかつくれません」、

「EVになっても、車は楽しい乗り物、ワクワクするものだ。」と主張した上で、

「何としてでもビジネスモデルとして頑張って、OSとCPUが席巻するパソコンのような世界にはしたくない」、と最後は希望的観測も混じった精神論のような発言で締めくくっている。

 筆者はこの発言を受け、「自動車はクルマづくりの誇り、プロ意識で、新規参入者に十分、競争優位を築ける。それがパソコンの世界と違うところだろう。」と好意的に受け止めている。

 パソコンの世界でアジア勢が勢いを増したときに、「日本のパソコンメーカーにはブランド力、信頼性がある。そうたやすくアジア勢に負けるわけがない。」といった発言が見られた。

 しかし台湾メーカーであるAcer(エイサー)は、今や販売台数で世界No.2まで昇りつめ、日本国内でもAcerASUSLenovoといったアジアメーカーのブランド力は、着実に国内メーカーと何ら遜色ないものになりつつある。

 国内の自動車メーカー・リチウムイオン電池メーカーは果たして、DRAMや携帯電話、パソコン、液晶テレビや白物家電と同じ道をたどることになるのか?「愚者は経験から学ぶ、賢者は歴史から学ぶ。」という格言があるが、今まさに、自動車メーカー・リチウムイオン電池メーカーの経営陣には、「歴史(正確には、『今そこにある未来』)から学ぶ」姿勢が問われているといっても過言ではない。

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