中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

「高速道路無料化」で地元経済は壊滅?!

 昨日、日本を代表する航空会社であるJALが、米デルタ航空との間で資本・業務提携の検討が進みつつあるというニュースが、日本中を駆け巡った。少し前には、セントレア空港からのパリ便を今年10月に廃止することを決定したというニュースが、中部地域の人々を驚かせた。

 それだけ、経営的に追い込まれているということをうかがわせるニュースであるが、航空会社と言うのは、営利企業という側面がある一方で、公共インフラとしての側面をもち、いたずらに採算性だけを追求されると、利用者としては辛いところだ。

 これらJALの経営危機にどこまで影響を及ぼしたかわからないが、高速道路の休日1,00円によって、国内線需要が多少なりとも減少したのは確かだろう。これが”無料化”ともなれば、その影響はさらに広がるものと思われる。

 ”政権交代”を果たした民主党の目玉政策の一つである、「高速道路無料化」が、(今さらという感があるが)各方面から反対の大合唱である。これに対し、民主党馬淵澄夫議員は、2009年9月2日「報道ステーション」に出演し、「少なくても全線一斉に無料化ではないです」ことを明言し、すべての高速道路が無料化になるわけではないこともニュアンスとしてにおわせた。

 選挙前、民主党マニフェストで高速道路は「原則無料化」と記載していたが、無料化の対象となる路線や区間を明示していなかった。投票前の09年8月13日、岡田克也幹事長は「首都高速道路阪神高速道路は無料化するつもりはない」と明言した。しかし、それ以外の高速道路で例外があるのかどうかは明らかにしなかったため、「話が違う」と失望した人も多いのではないだろうか。

 一般的には「エコ政策との矛盾」から、高速道路無料化への反対論が相次いでいるが、私は多様な交通インフラのバランスを人為的に崩してしまうという点で、「高速道路の原則無料化」は反対だ。

 今後の民主党のシュミレーションによって、無料化される/されない道路は徐々に明らかになってくるだろうが、気になるのは民主党が「無料化」実施に際して検討することは、「どの程度料金を取ると通行量がどうなるか」、「渋滞を避ける計画」を主眼にシュミレーションする、という点だ。

 つまり民主党には、「高速道路を無料化にすることで周辺経済にどの程度影響を及ぼすのか」という視点を、まったく欠いている。少なくとも報道からは、そうした視点はまったく伺えない。

 すでに高速道路の休日1,000円で、瀬戸内海のフェリー業界が壊滅的な影響を受けており、今回の無料化に当たっては、選挙前にJR西日本が懸念を表明したほか、今月になって九州バス協会も、実施を見合わせるよう陳情を行っている。

 今後、民主党政権が長期にわたって続くかどうかはわからず、この「高速道路無料化」政策も、自民党が政権を奪取することで、白紙に戻されるかもしれない。しかし、いったん廃止となった公共インフラは、復活するということは考えにくく、そのままなくなってしまう可能性が極めて高い。

 だいぶ前のブログに書いたが、名鉄揖斐線廃線となった際、地元の人たちは「どうせほとんど乗らないから大した事ない」と思っていたが、電車がなくなると駅がなくなり、その周りの店もなくなり、人が集う空間がなくなってしまったそうだ。つまり、駅がなくなるということは街がなくなる、ということなのだ。

2008年2月 4日 (月) 駅=ホッとステーション

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_c742.html

 さらに付け加えると、、高速道路無料化ともなれば、一般道で商売をしていた商店も当然影響を受けるだろうし、ガソリンスタンドはさらに大きな影響を受けることは間違いない。ガソリンスタンドも営利企業という側面がある一方で、公共インフラ的な側面を有しており、極端にその数が減れば、普段の給油行動に、相当の支障が出てしまうことも懸念される。

 今回の選挙に当たっては、「いったん民主党に任せて、ダメだったらまた自民党に任せればよい」という思いで投票した人は少なくないだろう。しかし、再び自民党に政権を任せる段階になって、公共インフラが壊滅的な影響を受け、回復不可能な状況になってしまうという可能性は否定できない。

 「子供手当て」に期待を膨らませている人も多いだろうが、その財源確保のために必要なところに資金が行き渡らず、「子供手当てはもらったものの、自分たちは働き場所がなくなった」なんていう笑えない状況が起きないとも限らない。

 以上のように、民主等の目玉政策に対して、私が懸念していることをつらつらと述べたわけだが、後年になって「鳩山不況」と呼ばれないよう、民主党はしっかりとした経済政策の舵取りを行ってもらいたいものである。

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