中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

「非連続の時代」とトヨタ

 21世紀初頭、松下電器(現パナソニック)ですら早期退職制度を導入するなど総合家電メーカーは軒並み不振を極める中、奥田碩社長率いるトヨタは好調を維持し続け、「トヨタ礼賛」熱が一気に高まったように記憶している。

 そのような時代の中、あるテレビ番組でオリックス宮内義彦会長が興味深い発言をしていたのが、記憶に残っている。

 「家電業界は、テレビはブラウン管から液晶に移り変わるなど、”非連続の時代”に突入している。そのような業界では、従来の成功体験はむしろ足かせになってしまう。一方、自動車は4輪で走り続けることには変わりがない”連続の時代”だ。このような業界では、コツコツと改善を積み重ねることが強みにつながる。だからトヨタは強い」、と。

 時代は下って現代、今や自動車も”非連続の時代”に突入しようとしている。ガソリン自動車から、ハイブリッドカー、そして電気自動車。いや、むしろ若者の”車離れ”や、インドの自動車メーカー、タタ・モーターズが発売した激安カー”ナノ”のような自動車のコモディティ化こそ、自動車業界における”非連続の時代”を象徴するものと言えよう。

 このような着実に迫りくる”非連続の時代”に対し、果たしてトヨタ経営陣は適切な舵取りが出来るか?今までのブログの中で、私はむしろ懐疑的な立場をとって来た。

2009年5月10日 (日) 『トヨタの経営力って一流?』 

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-9b47.html

 それとともに、”北米バブル”でかさ上げされた実力が、あえなく剥がされたにもかかわらず、今度は官製の”エコバブル”によって後押しすることは、トヨタに自社の実力を見誤らせるとともに、「従来の産業構造を延命させる行為であり、新たな産業構造への転換をむしろ遅らせることになりはしないか?」と疑念を提示した。

2009年4月12日 (日) 『自動車産業を支えることは是か?』

http://noir-kuon.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-09f8.html

 このように、『上げ底トヨタの外堀がジワジワ埋められていく中、一般的に『雇用の優等生』と見られてきたトヨタに対し、城繁幸氏が鋭い指摘をしている。

Joe' S Labo 『トヨタ型雇用モデルの崩壊』

http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/2c47e8160618c7da67c0817c1504aa8e

 同氏によると(というか今まで誰も指摘していなかったのが不思議なのだが)、

 「トヨタにとっては人材流動化なんぞもってのほか、終身雇用こそ日本型経営の真髄であり従業員は守るべき家族なのだ」とする一方で、「下請けや非正規雇用という存在は、そのための人柱」に過ぎない。

 ゆえに、「コア業務を正社員に、単純作業を非正規に切り分け、不況時は後者で雇用調整」することにより、「労使は従来どおりの年功序列・終身雇用を維持(要するに労使の一体化)」が実現する、という訳だ。

 同氏の指摘はさらに続く。

 「ところが、トヨタ型雇用モデルには死角があった。切られた非正規雇用が「ああそうですか」とすんなり引き下がらなかったことだ。トヨタにしてみれば不況になったので想定どおりに解雇し、組合にしてみれば下界の事は露知らずとばかりにベア要求しただけなのに、全国からバッシングされてびっくりしたはずだ。

 だが最大の誤算は、想定をはるかに上回る大波が来たことだろう。期間工を少々減らした程度では収まりきらない。こうなると、強固な年功序列組織を維持してきた企業ほど、かえってそれがアダとなる。組織拡張のDNAが強いから、組織が肥大しきっているのだ。他社に比べてトヨタだけぶざまな醜態を晒す理由はここにある。80年代、関連する事業に手を広げ続けた電機と同じ轍を、今頃になって踏んだわけだ。」

 と分析した上で、

 「正社員にメスを入れるかどうかはギリギリのところだろう。ただし、比較的機能していた報酬システムとしての年功序列制度はこれで完全に破綻するはずだ。」

 と予想している。

 現在、トヨタは全世界で1000万台の生産能力を有している。一方、今期の生産予定は650万台。にもかかわらず5月8日の記者会見で、「今すぐに工場を閉鎖するよりも、もう少し時間を見ながら考えていきたい」と、相変わらず腰が重いトヨタ

 ”エコバブル”が通り過ぎた後、トヨタの本当の実力が明らかになる。そのときトヨタはどう動くか?そしてどういった人事戦略をとっていくのか?興味深く見守って行きたいものである。

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