中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

続 新たな需要は「カイゼン」ではなく「革新」から生まれる。

 名古屋が好景気に沸く頃、いわゆる”トヨタ礼讃本”が本屋にあふれた。販売面では日本国内で減少が続き、生産面ではジャスト・イン・タイムで系列会社に無理を強いるトヨタを褒め称えるこれら書籍にミョーな違和感、気持ち悪さを覚え、一切買う気が起きなかった。 昨年参加したセミナーにおいて、コトあるごとに「トヨタではこうしている」、「トヨタはこんなに素晴らしい」と礼讃する講師にも、やはり違和感をぬぐえなかった。

 そんなトヨタが赤字に転落した。実体経済の面で中部地方にとどまらず日本全体に大きな影響を与えたのみならず、”強い日本企業”の代表格であったトヨタが赤字に転落した、という心理的な影響も無視できない。

 果たしてトヨタの赤字転落は、すべてが米国の景気後退と言う外的要因で、内部的なト問題はなかったのか?それを探るための格好のテキストである『トヨタ・ショック(井上久男著)』を読んだ。同書によると、すでに2007年10月~12月期で北米市場に翳りが見えてきたにもかかわらず、希望的観測から「今年(2008年)の米国市場は昨年並みか若干落ちる程度」といった甘い見落としのもと生産力を増強、以降も対応が後手後手に回るなど、経営陣の判断ミス、対応の遅れが目立った。

 一方、ホンダの福井威夫社長は「販売奨励金を上積みするくらいなら減産を選択」し、純2009年の純利益見込は87%減ながら黒字を確保する見込みだ。また、スズキの鈴木修会長は近年の急激な成長に危機感を強め、”勘ピューター”を駆使してサブプライム問題が発覚する前から在庫調整を指示、こちらも連結で63.3%減ながら黒字確保を見込んでいる。

 ホンダ、スズキとトヨタの業績の差は何故生じたのか?そもそも、トヨタは、”カイゼン”に代表されるように、「自社のコントロール下にあるものをコントロールし切る」と言う点ではダントツの強さを誇っているかもしれない。しかし、コントロール不可能な外部環境への対応力という点では、決して優れた企業とはいえないのではないか。2006年に発売された『トヨタの正体』では、今のトヨタの惨状を予告するかのように、こんな表現を用いている。

  「トヨタマンは元気いっぱいで知力も体力もあり、トップが決めた目標に向かって、一致団結して邁進します。しかし目標自体を疑うことはしない。目標が間違っていた場合でも、集団奈落の底に飛び込む恐れもあるのです。」 と。

 ホンダはもともと二輪車メーカーであるが、二輪車事業は今回の世界的な景気の悪化局面において、四輪車よりも落込みが少ないという。さらに3月29日の日経新聞一面によると、航空機事業にも本格参入し、来年には一号機納入、すでに数百機の受注を見込んでいるという。

 一方のトヨタは、『トヨタ・ショック』の紙面のどこを読んでも、あくまで”四輪車”の範疇でしか事態打開の策を打ち出せてない。もちろん、それは一定の効果を生み出すであろうし、米国経済が一定の回復を見て、かつ発展途上国の市場が伸びれば、今後まだまだ成長余力はあるだろう。

 しかし、”非連続の時代”の到来を迎え、「革新」にチャレンジするホンダと、あくまで”連続の時代”の範疇で「カイゼン」を続けるトヨタ、5年後、10年後にどちらの企業がエクセレント・カンパニーとして輝いているであろう?両社の今後の展開と業績の動向は、非常に興味深いものとなるだろう。

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