中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

「マス」をターゲットにし続けるTVに未来はあるか?

 3月21日(土)の19:30より、NHKで放映された討論番組『日本のこれから』のテーマは、「どうなってしまう?テレビの、これから」であった。それまでは、雇用問題や裁判員制度など、社会的に意義のあるテーマであったので、非常に興味深く見ることが出来た。しかし今回は「テレビ」というテーマであったため、NHKといえども業界寄りの立場からは逃れられず公平な番組とは言い難かったため、途中で見るのを止めてしまった。

 そもそも、討論参加者が一般市民とテレビ関係者に限られており、「テレビ離れは問題だ」、というスタンスで進行していたことが大いに問題であった。公平さを期すのであれば、「テレビ離れ、大いに結構」という人が、いてしかるべきではなかったか。それ以前のテーマであれば、「働きたくても働けない」、「今の賃金では生活が成り立たない」のは社会的に大いに問題だが、20代の若者の2割近くが「ほとんどテレビを見ない」という状況は、テレビ関係者にとっては問題かもしれないが、一市民・国民にとっては特段悪い話ではない。

同じような印象を持たれた方のブログ

http://d.hatena.ne.jp/solidarnosc/20090323

 討論の中で当然の様に話題に上がったのが、テレビ業界の「視聴率主義」である。これについて、出演していたある民報の幹部は、「スポンサーがいる以上、視聴率の呪縛からは逃れられない」といった趣旨の発言をしていた。ここで大いに考えるべきは、「視聴率」は数字で語られてはいるものの、その先に「どのような属性(性別、年齢、ライフスタイルなど)の人が見ているのか?」までは判らない、という点だ。そのためテレビ局は、万人向けの番組を作らざるを得ず、それが消費者離れを引き起こしている上、スポンサーも期待した広告効果を得られない、という悪循環を引き起こしているのではないだろうか。

 企業経営の世界では、マーケティングの基本中の基本として、「ターゲットマーケティング」という考え方がある。これは、市場(顧客)を何らかの属性に応じ細分化し(市場細分化)、その特定市場(顧客)に即した商品・サービスを開発、提供していこう、というものある。この対極にあるのが、「マスマーケティング」だが、戦後間もないモノ不足の時代ならともなく、モノも情報もあふれている現在は、外食産業のファミリーレストランや小売業のGMSの苦戦が示しているように、マスマーケティングは通用しなくなりつつある。

 翻って、テレビ、特に民報は、「お茶の間の一般大衆」というマスに対する番組を提供している、まさにマスマーケティングの世界である。深夜で面白い番組がゴールデンに進出した結果(少し前なら『カルトQ』、『トリビアの泉』、今で言えば『やりすぎコージー』など)、マニア向けの内容が薄められ魅力が減退してしまうのも、”マスマーケティング”の呪縛によるものである。

 さらに言うと、テレビ局というのは実質的に新規参入がなく、現在のごく寡占化されたプレーヤーのみで運営されていることが、構造的な問題として浮かび上がる。にもかかわらず、NHKの番組では、そこのメスを入れることなく、業界関係者のみを集めて、「テレビ離れを何とか阻止しよう」と言っても、土台に無理な話なのである。

 寡占化されたテレビ業界は、外食産業がファミリーレストランだけで構成されているようなものである。プレーヤが限られれば、狭い市場を狙う動機付けはなされず、自ずからマス市場を狙った商品に偏ることとなる。まさに今のテレビ業界は、オール”ファミレス”状態である。今後も万人向けの商品を提供し続けている限り、インターネットや携帯電話、テレビゲームその他の専門的なコンテンツに、市場を食われ続けることに歯止めがかかることはない。

 そのヒントとして、3月20日(金)の午後10:00には、「FM40年記念番組 FMに愛を込めて」なる番組が、これまたNHKで放送されていた。ここで興味深いのは、FM放送が阪神・淡路大震災をきっかけに規制緩和が進み、ごく小さな行政区域であっても新たな放送局を立ち上げることが可能となり、現在220を越える放送局が全国にあるということだ。

 ラジオ・テレビの違いはあれど、このように新規参入の壁を低くすることで、報道専門、スポーツ専門、文化専門、ローカル専門といった個性のあるテレビ局が立ち上がり、「マスマーケティング」から脱却することが、今テレビ業界に求められていることではないだろうか。

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