中小企業診断士えんさんの視点!

岐阜県を中心に活動している中小企業診断士のえんさんこと遠藤久志が、独自の視点で世相・経営・マーケッティングの本質に迫ります!

「かんぽの宿」譲渡 白紙撤回は是か?

 鳩山総務相の強烈なリーダーシップによって、ついに「かんぽの宿」譲渡が白紙撤回に決まった。昨年12月26日に日本郵政は、「かんぽの宿」を109億円でオリックス不動産への一括売却を発表。しかし、年明けに鳩山総務相は、売却先が郵政民営化を検討した当時の総合規制改革会議議長だった宮内義彦がトップを務めるオリックスのグループ企業であったことに疑念を示し、当初はその売却価額が「安すぎる」という観点からの物言いが相次いだ。

 先日のブログでも書いた通り、総建設費がいくら2400億円かかろうと、事業用資産の売却は今後どれだけキャッシュを生むかに主眼が置かれる。ましてや今回は一括売却、しかも雇用維持が国会決議で義務付けられており、「持っているだけで赤字」の物件が安く査定されるのは、致し方がない。またその資産価値は、売却先の事業運用能力によって大きく異なるものであるので、単純に各社を較べて「高い」・「安い」を論じるのはナンセンスでなのである。

 中にはオリックス不動産をはるかに上回る入札額で手を挙げた業者もあったようだ。今週の週刊文春によると、400億円の入札額を提示した企業「日本リライアンス」は、設立からわずか4年目、08年5月の純利益はわずか62万円という、甚だ心もとない事業基盤であったとのこと。ジャンルは違うが、当時新進気鋭の経営者である堀江貴文率いるライブドア近鉄バッファローズの球団買収に手を挙げたのが思い出される。

 今では信じられないが、当時は相当にライブドアが世論を獲得したものだった。ライブドア近鉄バッファローズを買い取っていたら、今頃プロ野球はどうなっていたであろう。このことからも、事業の売却は「高く売れればそれでよい」、というものでもないことが、よくわかってもらえるはずだ。

 リーマンショック以降の不動産市況の大幅な悪化を受け、10月31日付の入札では3社のうち住友不動産は辞退、のこる2社はオリックス不動産とHMIであった。この時点でオリックス不動産は90億円、HMIは(最終入札で譲渡対象からはずされたレクターセンターを除くと)わずか61億円だったという。

 鳩山総務相が「安すぎる」と指摘した109億円という価額に関して、オリックス不動産と最後まで争ったHMIの購入希望価額は、その半分程度しかないのである。この事実だけ考えても、オリックス不動産への譲渡価額が109億円が「安すぎる」と断じるのは、いかにも短絡的な話である、と言える。このことをどうしてマスコミは報道しないのか、不思議で仕方がない。

 確かに、手続きの不透明さから日本郵政は足元をすくわれた感があり、西川社長はそれに対する説明責任はあるかもしれない。しかし、現段階で「かんぽの宿」の譲渡を白紙撤回させ、しかも一括売却でなく個別売却にシフトすることについては疑問が残る。鳩山総務相は、「かんぽの宿」の譲渡を”静的”な問題と捉えているようだが、事業事業用資産の売却は”動的”に対処しなくてはならない。

 ましてや、今のような先行き不透明な経済情勢であれば、個別物件すべてに果たして買い手がつくのか?買い手がつかなければ、そこで働く人たちの雇用は保証できなくなってしまう。仮に買い手はついたとしても、オリックス不動産よりはるかに低い価額で売却せざるを得ないことも大いにありうるだろう。

 また、結果的に同様の価額で譲渡できたとしても、譲渡時期が後ろにずれ込めば、その期間日本郵政は赤字を引き受けなければならない(本日の日経によれば年50億円規模とのこと)。

 後々、「あのときオリックス不動産に売るのがベストの選択だった」と嘆くことがないよう、鳩山総務相以下、最善を尽くしてもらいたいものだ。

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